賃貸アパートの売却が知りたい①【売却前に知っておきたい7つのポイントを解説します】
賃貸アパートの売却が知りたい人
「賃貸アパートを相続したが売却を考えています。売却前に知っておきたいポイントがあれば教えて下さい。」
こういった疑問にお答えします。
✓本記事の内容
- 賃貸アパートの売却前に知っておきたいポイントが分かります【予備知識を身につけましょう】
この記事を書いている私は、不動産歴18年ほど。その中で相続歴は10年ほどの行政書士です。
よくある質問で「賃貸アパートを相続したが売却について知っておくポイントがあれば知りたい」という疑問があります。その疑問を順番に解決していきましょう。
賃貸アパートの売却前に知っておきたい7つのポイント【必須項目です】
不動産は価値が下がる前に売却するのが鉄則です
【7つの必須ポイント】
① アパート売却のタイミング
② ローン残債などの有無
③ アパート所有期間がどれくらいか
④ アパート売却の相場の確認
⑤ アパート売却にかかる費用
⑥ アパート売却時の控除や特例が利用できるか
⑦ 売却予定のアパートは売れる物件なのか
上記ポイントを解説していきます。
① アパート売却のタイミング
アパートを売却するときには、賃料収入と売却価格のバランスを見て、利益が最大になるタイミングを選択することが重要です。
不動産の価値は不動産そのものだけではなく、周辺の環境によっても変化します。
アパートの立地から、周辺の環境が今後どのように変化するか分析することが大切であり、5年後、10年後の周辺の環境を考えてみましょう。
開発が行われるエリアなら、住環境が良くなるため、将来的に不動産価値が上昇する可能性が高いです。
反対に、周辺施設が無くなったり過疎化が進むエリアなど、人やモノが離れると不動産価値は減少します。
価値の高まりが期待出来る場合は、最大値になるまで待ち、減少が見込まれる場合は早めに売却して、リスクを回避することが大切です。
ただ、アパートの売却価格を左右する最も重要な要素は築年数です。
アパートの多くは木造ですが、木造物件の法定耐用年数は22年と決まっています。
より高く売却しやすいのは「築20年以内」の物件です。
築年数は1年経過ごとに価値が少しずつ下がり、築20年までは早いペースで減少し続けます。築20年以降でも価値の減少は進みますが、それ以前に比べると緩やかです。
そのため、古すぎる物件なら売却を急がず、様子を見て適切なタイミングを判断してから売るのも一つの手でしょう。
実際は築22年以上のアパートでも売買されていますが、値打ちが付く・多くの購入希望者が見込めるタイミングとしてはこれくらいのタイミングを考えておく必要があります。
② ローン残債などの有無
所有するアパートにローンが残っている場合、アパートの売却で得た金額からローンを完済する必要があります。
ローンが残っている場合でもアパートを売却する事自体は可能ですが、その場合はアパートを売却した際の売却益からローンの返済を行わなければなりません。
また、アパートの売却金で住宅ローンを返済しきれない場合は、自己資金で足りない費用をまかなう必要があります。
その為、ローン残債を確認せずに売却をしてしまうと、売却益が得られると思っていたのに逆に早急に現金を準備しなければならないという事態にもなりかねません。
住宅ローンの有無は、アパート売却時の資金計画に大きな影響を与えます。
相続により得たアパート、もしくは投資用として購入したアパートであっても、ローンの有無、ある場合は残債をしっかりと把握して、売却後の金銭的な計画を立てる必要があります。
また、これから相続する予定のアパートがある場合、住宅ローンの金額によっては、相続放棄の手続きを経て、アパートを相続しないという選択もできます。
詳しくは「相続放棄が知りたい【内容や活用方法を解説します】」をご覧ください。
③ アパート所有期間がどれくらいか
アパートの売却利益が出た場合、すなわち購入費(取得費)よりも売却額が大きかった場合、譲渡所得税がかかります。
譲渡所得税は「譲渡所得×税率」で求められますが、肝心の譲渡所得は以下の計算式で算出されます。
譲渡所得の計算式は「売却価格-(取得費用+売却費用)」となります。
取得費用とは、土地については購入額、建物については購入額から減価償却費を控除した価額や、購入手続きにかかった費用(仲介手数料、登記費用など)の合計額です。
建物は価値が築年数の経過により低下するので、その分(減価償却費)を差し引きます。
減価償却費の計算式は「建物購入代金×0.9 ×償却率×経過年数」となります。
余談ですが不動産の場合、木造は22年、鉄筋コンクリート造は47年と法定耐用年数が違っているため、減価償却を終えたタイミングで売却するのも一つの手です
更に、譲渡所得にかけられる税率(譲渡所得税)ですが、所有期間によって変わります。
所有期間が5年超の場合(長期所有)は20.315%の税率、5年以下の場合(短期所有)は39.63%です。
所有期間が5年に満たない間に売ると譲渡所得税の税率が約2倍になるので注意しましょう。
5年を境に税率が大きく変わるため、ご自身の所有期間を把握しておくことで、本当にそのタイミングで売却するのが一番お得なのかを考える事が出来ます。
④ アパート売却の相場の確認
適正価格でアパートを売却するには、事前に不動産価値の相場を調査することが大切です。
相場を把握していないと、実際の価値以下で手放してしまったり、見当違いの価格を目標に定めて追い求めてしまい、結局失敗してしまう恐れがあるので注意が必要です。
不動産の取引価格は、国土交通省が運営する、「土地総合情報システム」で閲覧出来るため参考にしてください。
また、実際の売却額に近い目安を得たいなら当事務所をご活用ください。
複数社の査定をお出しすることで比較もでき相場価格も算出しやすくなります。
⑤アパート売却にかかる費用
アパート売却の際は税金・費用が発生しますが、このコストがいくらかかるのかも事前に知っておくことをおすすめします。
アパートを売却した時の利益は売却代金-諸費用の手残りなので、正しい認識を持っていないと後の資金計画に狂いが生じてしまう可能性があります。
アパートを売却する際、費用としてかかってくる概要は、以下のとおりです。
〈アパート売却でかかる費用の概要〉
金額は条件などにより異なりますので詳しくはお付き合いのある不動産屋にご相談ください。
当事務所でもご相談できますのでお気軽にお問い合わせくださいませ。
⑥アパート売却時の控除や特例が利用できるか
売却時には税金や費用がかかりますが、反対に受けられる控除もあります。
アパートの売却で利益が出た場合は、譲渡所得となり「所得税」や「住民税」が課税されますが、損失が出た場合、これらは控除されます。
高額の譲渡所得税が出た時、アパート(収益物件)にはアパート独自の「特定事業用資産の買換え特例制度」があり、直接、税金を差し引くことができます。
これは不動産の買い換え時の負担を下げるために、納税を一時的に将来に繰り延べるものではあり税負担自体がなくなるわけではありませんが、一時的に免れることができ、譲渡所得にかかる税金を最大で80%まで繰り延べ出来ます。
売却時は費用がかかるだけではなく、負担を減らす方法もあるため、これらを上手に活用しましょう
この特例を利用するためには、売った物件と買換えた物件がどちらも事業用でなければいけません。
その他にも、例えば所有期間が10年を超える事業用不動産を売ったら、面積300㎡以上の不動産に買い換えないと特例が利用できないという条件もあります。
これに関しては不動産会社よりも税務署・税理士の方が詳しいので、一度相談してみるとよいでしょう。
⑦売却予定のアパートは売れる物件なのか
アパートを売却するには、当然買い手が必要です。
どれだけ自分が売りたいと思っても、買い手がつかなければ売却は出来ないため、手持ちの物件は本当に「買いたい」と思えるか確認しておくことが大切です。
例えば、アパート経営で利益を得るには、満室状態を維持しなければなりません。そのため、空き部屋が多いアパートは収益が低いと判断され、売れにくくなるため注意が必要です。
また、物件に瑕疵があると売りづらく、売却後にトラブルになる可能性もあるため、事前にアパートの「状態」や「設備」は確認しておきましょう。
アパートの状態や設備が十分でないと、それだけマイナスの要素は強くなり、購入は敬遠されてしまいます。
物件の魅力を再確認してから、売却の手続きを進めましょう
まとめ:賃貸アパートの売却が失敗しないためには準備すべきことがあります
ポイントをまとめます。
【7つの必須ポイント】
①アパート売却のタイミング
②ローン残債などの有無
③アパート所有期間がどれくらいか
④アパート売却の相場の確認
⑤アパート売却にかかる費用
⑥ アパート売却時の控除や特例が利用できるか
⑦ 売却予定のアパートは売れる物件なのか
アパートを売却する場合、一時的にまとまった金額が手に入るなどのメリットがある一方で、ローンを完済できることが前提であることや入居者がいる場合の問題などデメリットもあります。
アパート経営を続けるべきか、売却を行うべきかについては、現在のローン残債や毎月の家賃収入、アパートを所有している期間などさまざまな観点から判断する必要があります。
また、アパートの価値は、築年数や見た目の新旧だけでなく、立地条件や周辺環境などを含めたさまざまな要素によって決まるものです。
アパートの売却を検討し始めたときは、アパートの売却を成功させるために物件価格の査定や仲介売却を依頼する不動産会社の選定、買い手とのマッチング、売買契約、引き渡し、税金の特例まで分からないことがありましたら当事務所にお問い合せやご相談下さいませ。
何卒よろしくお願い申し上げます。