死後事務委任契約が知りたい①【制度内容や利用すべき人を解説します】

死後事務委任契約が知りたい人
「死後事務委任契約って最近よく聞きますが、どういった内容なのか分からないので知りたいです。また、利用すべき人がいたら教えてください。」

こういった疑問にお答えします。

本記事の内容

1.死後事務委任契約の制度内容をチェック【最近利用する方が増えています】

2.死後事務委任契約の利用すべき人【様々なパターンがあります】

この記事を書いている私は、不動産歴18年ほど。その中で相続歴は10年ほどの行政書士です。

よくある質問で「死後事務委任契約の制度内容や利用すべき人が知りたい」という疑問があります。その疑問を順番に解決していきましょう。

1.死後事務委任契約の制度内容をチェック【最近利用する方が増えています】

死後のお手続きを生前にお願いできます

  • その①:死後事務委任契約の基礎知識(制度内容を身につけましょう)
  • その②:死後事務委任契約がないとどうなるのか(デジタル遺品は他人の情報が洩れてしまうリスクが潜んでいます)

上記のとおり

ここから詳しく解説していきます。

その①:死後事務委任契約の基礎知識(制度内容を身につけましょう)

死後事務委任契約とは、本人が亡くなった後の手続きを信頼できる人に任せておける生前準備のひとつです。

この生前に委任する契約をすることを死後事務委任契約といいます。

委任内容は非常に幅広く、下記の様な事務を本人に代わって行うことを細かく指定しておくことが出来ます。

  • 死亡届の提出
  • 関係者への連絡
  • 通夜や葬儀の手配
  • 納骨・埋葬の手配
  • 墓石の建立、永代供養、菩提寺の選定
  • 賃貸借物件の明け渡し
  • 年金受給の停止、公共料金、税金の支払いなどの事務
  • 入院していた病院や介護施設の費用の支払い
  • 自宅や介護施設の片付け
  • 遺品の処分
  • デジタル遺品の整理、消去

通常死後の事務は親族が行うのがほとんどですし、法律もそれを前提に作られております。

しかし、親族以外の方に、自分の死後の事務を依頼するためにはこの死後事務委任契約を結んでおかなければ、死後の事務をスムーズに行う事はできない為に、死後事務委任契約が活用されております。

その②:死後事務委任契約がないとどうなるのか(デジタル遺品は他人の情報が洩れてしまうリスクが潜んでいます)

死後の事務委任契約がないとどうなるのか順番に解説します。

亡くなった本人に代わって葬儀などの手配をする人がいない場合には、財産は家庭裁判所の管理下に入り相続財産管理人を選任して相続人がいれば申し出るように官報で公告します。広告期間は2ヵ月です。

公告期間を過ぎても相続人が現れない場合、家庭裁判所は本人に対して債権をもっている者は申し出るように官報で公告をします。広告期間は2ヵ月以上です。

家庭裁判所は公告期間終了後に、請求された債務を本人の財産の中から支払うこととなります。

上記2回の公告期間を過ぎても相続人が現れない場合、家庭裁判所は相続財産の管理人、検察官の請求により、6ヵ月以上の期間を定めて、相続人は申し出るように公告します。

この期間内に相続人が現れない場合には、相続人不存在が確定。財産は国庫に帰属することとなります。

この期間内に特別縁故者が現れた場合には、その人に財産の全部もしくは一部が与えられることとなります。

ここまでは大きな問題はありませんが、最近問題となっている死後によるパソコンやネット上に残るデジタル遺品の処理といった問題があります。

【デジタル遺品に関する手続き】

デジタル遺品とは、パソコンやスマホなどのデジタル機器に残されたデータのことを指します。

放置しておくと、本人にとって他人に見られたくないプライベートなデータが見られてしまうおそれがあります。

また、データの流出だけではなく、そのままになっているアカウントが乗っ取られ、悪質なサイトの入り口として使われてしまうというリスクもあります。

さらに重大なのは、本人のプライバシーや財産だけではなく、他人の個人情報が洩れてしまうなど、他人をも害する可能性のあるリスクがデジタル遺品には潜んでいるのです。

2.死後事務委任契約の利用すべき人【様々なパターンがあります】

利用すべき人をパターン別に解説していきます。

① 独身の方や子供のいない夫婦等、もしもの時に近くに頼れる家族・親戚がいない人

死後事務委任契約を結んでおかないと、葬儀や納骨を誰がするのかはっきりせずに親戚や最後御世話になった介護施設等に負担がかかります。死後事務を依頼する事を検討しましょう。

② 家族や親族はいるが、面倒な死後事務を第三者に依頼したい人

家族はいるが、遠方に住んでいる等であまり負担をかけたくないという場合は依頼を検討しましょう。

③ 頼れる家族・親族も高齢で、死後事務を依頼するのは不安な人

家族や親族も高齢で、自身の死後事務を行ってもらうのは不安だという場合は依頼を検討しましょう。

④ 散骨・樹木葬などを希望する人

近年、海での散骨や、墓石の代わりに樹木を立ててその周りに納骨をする樹木葬が流行しています。

散骨や樹木葬は、故人の遺志と家族や相続人の考え方が食い違ってしまう場合も多く、実現できない事もあります。

ご自身の意思で生前にそういった業者と契約をしたとしても、死後にきちんと散骨・樹木葬を行ってもらう為には死後事務委任契約を結ぶのがオススメです。

⑤ 内縁関係のご夫婦、同性のカップル

事情が有って、法律婚をできない内縁のご夫婦や同性のカップルの場合は、死後事務委任契約を利用する事を検討しましょう。

法律婚をしていない場合は、相続人では有りませんので死後の事務を行う事が基本的には出来ません。

その場合に備えて、パートナーに死後事務を委任する契約をしておけばお互いに亡くなった後の備えになります。 

まとめ:死後事務委任契約は終活として検討すべき制度です

ポイントをまとめます。

  • 死後事務委任契約の制度内容をチェック【最近利用する方が増えています】
  • 死後事務委任契約の利用すべき人をチェック【様々なパターンがあります】
  • 死後事務委任契約がないとどうなるのか【デジタル遺品は他人の情報が洩れてしまうリスクが潜んでいます】

死後の事務委任契約は、基本的に相続人がいない場合に検討するべきものです。

しかし、亡くなった後に周囲の負担について懸念し、気を遣いたくない、気を遣わせたくないと考える人なら、誰でも死後事務委任契約が適していると思います。

生前準備として活用して頂ければ幸いです。

ということで今回は以上です。

当事務所では、死後の事務委任契約書作成をさせていただいています。興味のある方はぜひご相談ください。

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