死後事務委任契約が知りたい②【他の制度との違いや関係性、有効活用する方法を解説します】
死後事務委任契約が知りたい人
「死後事務委任契約の内容は分かりましたが他の制度(生前準備や対策)との違いや関係性が分からないので知りたい。あと他の制度を利用して有効に活用できることがあれば教えて下さい。」
こういった疑問にお答えします。
✓本記事の内容
1.死後事務委任契約と他の制度との違いや関係性をチェック【違いを身につけましょう】
2.死後事務委任契約を有効に活用する方法【組み合わせて万全にしましょう】
この記事を書いている私は、不動産歴18年ほど。その中で相続歴は10年ほどの行政書士です。
よくある質問で「死後事務委任契約を有効に活用したいが他の制度との違いが分からない。」という疑問があります。その疑問を順番に解決していきましょう。
1.死後事務委任契約と他の制度との違いや関係性をチェック【違いを身につけましょう】
生前から死後にかけてサポートを得られる制度は主に2つあります。
- 任意後見契約
- 遺言
死後事務委任契約とこれらの制度の違いは「財産管理できるかどうか」という点になります。
【任意後見契約との違いや関係性】
任意後見契約は、あらかじめ自分の判断能力が低下した時に備えて、元気なうちに身上監護や財産管理などを信頼できる人に依頼するための制度です。
契約を締結した時点では効力は発生しませんが、判断能力に不安が生じた段階で任意後見監督人選任の申立を行うことで、任意後見契約の効力が発生します。
一般的な財産管理委任に関する契約と同様、任意後見契約は生前に効力のあるもので、当事者の一方が死亡すると契約も終了します。
そのため、有効期間は本人が生きている間だけに限られるため、死後に行わなければならない事務については効力がありません。
違い:被後見人(被相続人)の生前の身上監護や財産管理を行う
被後見人(被相続人)の死亡と同時に終了
関係性:生前のみ効力があるものなので、死後の事務について依頼したい場合は、死後事務委任契約を締結する必要があります
【遺言との違いや関係性】
遺言は、財産(遺産)の承継についての希望です。これには、相続分の指定、分割方法の指定、財産(遺産)の相続先の指定があります。
しかし、死後の事務については強制力がありません。そのため、遺言状に記載されてあったとしても、それが実行されるかどうかはわからないのです。
たとえ、遺言執行者がいたとしても、本人の意思に従った財産の承継を行うだけなので、死後の事務については法的な強制力がなければ実行は難しいでしょう。
違い:被相続人の財産(遺産)の承継についての希望(相続分・分割方法・相続先)を実施する
関係性:財産(遺産)の承継以外の手続きは強制力がありませんので、死後の事務について依頼したい場合は、死後事務委任契約を締結する必要があります
2.死後事務委任契約を有効に活用する方法【組み合わせて万全にしましょう】
先述した、任意後見契約と遺言を組み合わせることにより死後事務委任契約をより有効に活用することができます。
【任意後見契約との組み合わせ】
任意後見契約は生前の身上監護や財産管理を行う契約です。
死後の事務についても契約(死後事務委任契約)を一緒に結んでおくことで、死後に行わなければならない事務についても効力を発生します。
【遺言との組み合わせ】
遺言は、死後事務委任契約と同様、死後に効力が発生しますが、財産(遺産)の承継以外の手続きは強制力がありませんので、死後事務委任契約を一緒に結んでおくことで、死後に行わなければならない事務についても効力を発生します。
特に、遺言執行者との間で、死後の事務委任契約を結ぶことをお勧めします。そうすれば、遺言内容に死後事務委任の内容を取り入れた実行が実質的に担保されるからです。
判断能力のあるうちに出来る限り、手続きを行う人と死後の委任内容について決めておくと家族の負担も減らすことができます。
まとめ:死後事務委任契約は自分の死後の希望を実現できる制度です
ポイントをまとめます。
・死後事務委任契約と他の制度との違いや関係性をチェック【違いを身につけましょう】
・死後事務委任契約を有効に活用する方法【組み合わせて万全にしましょう】
生前から死後にかけてサポートを得られる制度の説明と、それらを組み合わせることにより死後事務委任契約を有効に活用できることを解説しました。
老後の生活をより、明るく楽しいものにするためにも、死後事務委任契約を活用して頂ければ幸いです。
ということで今回は以上です。
当事務所では、死後の事務委任契約書作成をさせていただいています。興味のある方はぜひご相談ください。