相続人調査が知りたい④【戸籍謄本類の見方や読み方を解説します】
相続人調査が知りたい人
「戸籍収集の必要性、調査方法や区別は分かりましたが、戸籍謄本を取得した後の見方や読み方が分からないので知りたいです。具体的に記載している内容を詳しく教えて下さい。」
こういった疑問にお答えします。
✓本記事の内容
戸籍謄本類の見方や読み方が分かります【戸籍謄本類の取得後に参考にして下さい】
相続人調査では念入りに戸籍を読み解く必要があります。
その①:戸籍謄本の見方や読み方について(しっかりと見て確認しましょう)
その②:その他の謄本の見方や読み方について(基本は同じです)
上記のとおり
この記事を書いている私は、不動産歴18年ほど。その中で相続歴は10年ほどの行政書士です。
よくある質問で「戸籍謄本類の見方や読み方が知りたい」という疑問があります。その疑問を順番に解決していきましょう。
戸籍謄本類に記載されていることが分かるようにここから詳しく解説していきます。
その①:戸籍謄本の見方や読み方について(しっかりと見て確認しましょう)
出典:名古屋市名東区役所ホームページ「戸籍ってどんなことが載っているの?」
戸籍謄本の記載内容
【1】 本籍
本籍とは、戸籍の基本となる場所です。戸籍を請求する上でなくてはならない重要情報になります。
また、「戸籍を特定するための行政区画・土地の名称・地番」となりますので、住所とは無関係になります。
よって、現在の住所とは違うところを本籍とする方も多くおります。
【2】 氏名
戸籍の最初に書いてある氏名が、その戸籍の「筆頭者(戸主)」となります。
父親が「筆頭者(戸主)」となっているケースが多いです。
そして、配偶者や子どもなど、その戸籍に記載されている人全員が筆頭者の氏を名乗ります。
日本人同士が婚姻届を出す際には、どちらの氏を名乗るかを選択するのですが、この氏の選択により筆頭者が決まります。
戸籍は本籍地と筆頭者(戸主)という2つの情報によって管理されております。
ちなみに、筆頭者(戸主)が亡くなって除籍されても、筆頭者(戸主)が変わることはありません。
【3】 戸籍事項 戸籍編製
戸籍事項欄には、その戸籍の編成や消除、改製、氏の変更などに係わる事項と戸籍が編成された時期が記載されます。
また、戸籍の電算化により戸籍謄本の様式が変わったために新しく作られた場合は、「戸籍改製」と示され、以下のように記載されます。
【改製日】平成〇年△月◇日
【改製事由】平成6年法務省令第51号附則第2条第1項による改製
【4】 戸籍に記録されている者
この戸籍の筆頭者についての情報がこの欄から得られます。
その人の父母はもちろん、父母から見た関係(続柄)が記載されています。
除籍とある場合には死亡や婚姻・養子縁組などによってその人が抹消(除籍)されていることがわかります。
【5】 身分事項 出生
戸籍での「身分事項」とは、「出生」や「婚姻」「離婚」「養子縁組」「死亡」といった、身分上の重要事項が記載される欄です。
ここでは、まず「出生」の事項が必ず記載されています。内容の解説は以下のとおりです。
「出生地」とは、生まれた場所を指します。
たとえば、生まれた場所が病院であれば、その病院の所在地の最小行政区までが記載されます。
「届出日」と「届出人」とは、役所に出生届を提出した日及びその届出をした人です。
「送付を受けた日」と「受理者」は、ある場合とない場合があります。
この記載がある場合は、本籍地以外の役所に届出をしていたということで、そこから本籍地の役所に郵送されたということを示しています。
記載がないということは、本籍地役所に届出されたということになります。
【6】 身分事項 婚姻
婚姻についての情報が記載され、配偶者の氏名と従前戸籍を読み取ることができます。
その内容は以下のとおりです。
「婚姻日」とは婚姻届を提出した日です。
「配偶者氏名」とは、結婚した相手の氏名です。
「従前戸籍」とは、この戸籍の前に入っていた戸籍のことです。従前戸籍の筆頭者も記載されております。
ちなみに、初婚同士の婚姻の場合、ほとんどの方は、親の戸籍から除籍されて夫婦二人で新しく戸籍を作ることになります。
【7】戸籍に記載されている者
筆頭者の次の人の身分事項が記載されていきます。
たとえば、配偶者やその間に生まれた子などが記載されますが、その人について、筆頭者同様、基本的な事項及び、出生や婚姻などの身分事項が記載されます。
順番は配偶者が先で、子どもが後になります。子供の順番は生まれた順番で記載されます。
その②:その他の謄本の見方や読み方について(基本は同じです)
【除籍謄本の見方や読み方】
除籍謄本も戸籍謄本と基本的な見方や読み方は変わりませんが、大抵の場合は現在の戸籍謄本と異なり縦書きのものが発行されます。
除籍謄本の場合は、誰か一人が除籍されているのではなく、全員が除籍された戸籍ということなので、戸籍にまだ配偶者や結婚していない子どもがいる場合には発行されません。
必ずしも冒頭の部分に「除籍謄本」と書かれているわけではありませんが、人の名前の部分に大きなバッテンがついていたり、除籍というスタンプが押してあったりしますから、戸籍謄本か除籍謄本かは一読すれば分かるようになっております。
【改製原戸籍の読み取り】
改製原戸籍も戸籍謄本と基本的な見方や読み方は変わりませんが、縦書きになっているという点で異なります。
改製された後の戸籍には、その当時在籍していた者についてしか記載されません。したがって、戸籍の改製前に死亡や結婚等でその戸籍から除かれている人は、改製後の戸籍には記載されないということに留意する必要があります。
まとめ:戸籍謄本類の見方や読み方を身につけましょう
ポイントをまとめます。
・戸籍謄本の見方や読み方について(しっかりと見て確認しましょう)
・その他の謄本の見方や読み方について(基本は同じです)
戸籍謄本類の見方や読み方について解説していきました。
被相続人(故人)に関する情報を読み解けば、相続人調査も進めることが出来ます。
そして、全ての戸籍を集めるためには、新しい戸籍から古い戸籍の順に遡っていく方法が確実です。
その方法としては、婚姻や離婚で本籍が他市区町村へ移っている場合、転籍で本籍を他市区町村へ移している場合や戸籍が改製されている場合等で順番に辿っていきます。
そして、肝心なのは必ず「連続している」ことです。
一つでも抜けがあると「出生時から死亡時までのすべての戸籍謄本類」を集めたとは言えませんので、相続人調査としては不十分です。
戸籍の収集が難しく感じる場合や、市区町村役場の窓口が空いている平日の日中に時間が取れない場合など時間があまり取れない方は、相続人調査を行政書士などの専門家に依頼することをお勧めします。
ということで今回は以上です。
行政書士おおこし法務事務所でも相続人調査を受け付けておりますので、お気軽に依頼してください。
ケースにもよりますが、依頼費用は3万円~5万円程度です。
併せて遺産分割協議書の作成などもお受けできますので、相続手続きにかける時間がない方や事務作業が苦手な方は特に依頼することを検討してみてください。
何卒よろしくお願い申し上げます。