相続財産の調査方法が知りたい③【不動産の調査方法を解説します】

不動産の調査方法が知りたい人

「相続が発生しましたが被相続人(故人)の不動産の有無が分かりません。不動産の調査方法を教えて下さい。」

こういった疑問にお答えします。

本記事の内容

被相続人(故人)の不動産の有無の調査方法が分かります【相続財産の調査は誰であろうとも必須項目です】

どこにどんな不動産を所有していたかを正確に特定するのは、実は非常に難しいのです

1.不動産の基礎知識や種類について【しっかりと身に付けましょう】

2.不動産の調査方法について【意外と不動産を所有している人は多いです】

上記のとおり

この記事を書いている私は、不動産歴18年ほど。その中で相続歴は10年ほどの行政書士です。

よくある質問で「被相続人(故人)の不動産の有無の調査方法が知りたい」という疑問があります。その疑問を順番に解決していきましょう。

1. 不動産の基礎知識や種類について【しっかりと身に付けましょう】

土地や建物は別々の財産です

その①:不動産の基礎知識(民法に定義されています)

その②:不動産の種類(目的によって複数所有している人もいます)

不動産について分かるようにここから詳しく解説していきます。

その①:不動産の基礎知識(民法に定義されています)

不動産とは、民法という法律の第86条の1項にその定義が記されています。

民法の第86条の1項の内容は以下のとおりです。

民法86条の1項

土地及びその定着物は、不動産とする

以上が民法の第86条の1項であり、この文章の中で難しいのは「定着物」という表現ですが、定着物とは主に建物を指します。

従って、不動産とは「土地や建物のこと」が答えです。

ちなみに、土地と建物はそれぞれ別々の不動産という取り扱いです。

別々の財産だからこそ、例えば先祖代々の土地の上に自宅が建っている場合に、土地は祖父名義のままだけど、建物は父親の名義になっている、なんてことがよくあります。

ですので、不動産を調査する場合は、必ず土地と建物の両方を調べなければなりません。

その②:不動産の種類(目的によって複数所有している人もいます)

不動産は、人が生活するうえで必要な財産です。

そのため、被相続人の中には、居住用の不動産を所有している人が少なくありません。

人によっては投資目的でアパートマンションを所有している人もいます。

また、別荘などのセカンドハウスを所有している場合もあります。

さらには、土地を貸している場合や残念ながら原野商法等で土地を所有している場合もあります。

そのようなことから、遺産相続の手続きを行う際、被相続人の相続財産を確認するため、不動産を調査しなければならないケースが多いのです。

2. 不動産の調査方法について【意外と不動産を所有している人は多いです】

調査方法に順番があります

亡くなった人の不動産の調査は、以下の手順で行います。

① 被相続人(故人)の自宅を探してみる

② 役所で調査を行う

③ 法務局で謄本を取得する

①被相続人(故人)の自宅を探してみる

不動産の財産調査をするとき、被相続人(故人)の自宅で探すのは、主に以下の二つの書類です。

◎固定資産税、都市計画税等の明細書(納税通知書)

亡くなった人が1月1日時点で所有している不動産については、毎年4月~6月頃に、役所から固定資産税、都市計画税等の課税額が記載された明細書が届きます。

この明細書には、課税されている不動産のみが記載され、たとえば私道を所有している場合には記載されません。

◎法務局から発行された「権利証」

土地を購入したときや、不動産を購入したときに法務局から発行されるのが「権利証」です。

現在は、権利証に代わって「登記識別情報通知」という書類が発行されるようになっており、厚紙の表紙がつけられていることが多いです。

表紙には「不動産登記権利情報」や「登記識別情報」といった題名がつけられています。

権利証や登記識別情報通知は、自宅で保管される方がほとんどなので、机やタンスなどを探してみましょう。

ちなみに、故人が所有していた私道や墓地など非課税の不動産は納税通知書では確認できないので、権利証(登記識別情報通知)での確認が非常に重要です。

②役所に行き、調査をする(東京23区の場合は「都税事務所」)

亡くなった人の自宅で書類が見つからない場合であっても、役所に行き、「名寄帳」を取得することで、不動産の調査をすることができます。

名寄帳(なよせちょう)とは、役所が管轄する納税対象者の所有する土地・建物を一覧にしたもので、非課税不動産の「私道」や「墓地」も記載されていますので、漏れなく地番や家屋番号を把握することができます。

また、固定資産税の明細書が亡くなった人の自宅で見つかった場合であっても、1月1日時点での所有にもとづいた明細であるため、それ以降亡くなった人が不動産を売却している場合は、名寄帳を取得することで現時点の正確な情報がわかります。

※名寄帳を取得する際の注意点

名寄帳は、管轄外の役所の不動産は調査できませんので、この地域に不動産を持っていたはずだとあたりをつけてから役所に行く必要があります。

また、名寄帳を取得する際は、共有名義のものも取得したいですと伝えるようにしましょう。

単独で所有している不動産と共有の不動産は別々になっているため、亡くなった人の所有する不動産が共有になっている場合はそちらも確認する必要があるためです。

役所で名寄帳を取得したら、一緒に固定資産評価証明書も取っておくとよいでしょう。

不動産の評価額が記載されておりますので、遺産分割協議をするときの資料になりますし、名義変更の際に提出を求められることになります。

③法務局で謄本を取得する

地番と家屋番号がわかったら、法務局で謄本(登記事項証明書)を取得しましょう。一つの法務局で、全国どこの謄本でも取得できます。

謄本には、所有権だけでなく、抵当権の記載もありますので、これを確認したうえで、遺産分割協議をして相続するかどうかを判断するようにしましょう。

まとめ:相続財産の調査方法は早めに始めましょう

ポイントをまとめます。

・不動産の基礎知識や種類について【しっかりと身に付けましょう】

・不動産の調査方法について【意外と不動産を所有している人は多いです】

不動産の調査方法は、固定資産税・都市計画税等の明細書(納税通知書)、権利証や登記簿謄本類が見つかれば相続手続きもスムーズに行うことができます。

もし、上記書類が見つからない場合には、幾つか調査方法がありますので参考にしてください。

しかし時間が掛かることもありますので、なるべく早めに始めることをおすすめします。

ということで今回は以上です。

ご不明な点等、御座いましたら弊所にご相談くださいませ。

行政書士おおこし法務事務所

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