マンションを売却するのにかかる諸費用が知りたい【内容や注意点を解説します】
マンション売却に必要な費用が知りたい人
「マンションの売却を考えていますが税金やその他かかる諸費用があれば知りたい。あと注意することがあれば教えて下さい。」
こういった疑問にお答えします。
✓本記事の内容
- マンションを売却するのにかかる諸費用が分かります【内容を押さえましょう】
- マンションを売却する上で注意すべき3つのこと
この記事を書いている私は、不動産歴18年ほど。その中で相続歴は10年ほどの行政書士です。
よくある質問で「マンションを売却するのに諸費用がいくらかかるか知りたい」という疑問があります。その疑問を順番に解決していきましょう。
1.マンションを売却するのにかかる諸費用が分かります【内容を押さえましょう】
さまざまな費用がかかることを念頭にいれておきましょう
- その①:マンション売却に必要な費用をチェック(目安があります)
- その②:譲渡所得税についてチェック(少し深掘りします)
上記のとおり
マンションを売却するのにかかる諸費用が分かるようにここから詳しく解説していきます。
その①:マンション売却に必要な費用をチェック(目安があります)
マンションの売却には諸費用がかかります。
その諸費用とは、以下の表のものになります。
費用の目安は、マンションの売却価格の約3.5%です。
「繰上返済手数料」について
住宅ローンが残っているマンションでも売却は可能です。
ただし、引き渡し時は売却代金を利用して住宅ローンを完済しなければいけないので注意が必要です。
よって査定をした段階でローン残高を払えるかどうかチェックをする必要があります。
ローンを一括返済する場合、銀行に連絡をすることと「繰上返済手数料」が別途かかるのでご注意ください。
その②:譲渡所得税についてチェック(少し深掘りします)
マンション売却利益が出た場合、すなわち購入費(取得費)よりも売却額が大きかった場合、譲渡所得税がかかります。
譲渡所得税は「譲渡所得×税率」で求められますが、肝心の譲渡所得は以下の計算式で算出されます。
譲渡所得の計算式は「売却価格-(取得費用+売却費用)」となります。
取得費用とは、土地については購入額、建物については購入額から減価償却費を控除した価額や、購入手続きにかかった費用(仲介手数料、登記費用など)の合計額です。
マンションは価値が築年数の経過により低下するので、その分(減価償却費)を差し引きます。
更に、譲渡所得にかけられる税率(譲渡所得税)ですが、所有期間によって変わります。
所有期間が5年超の場合(長期所有)は20.315%の税率、5年以下の場合(短期所有)は39.63%です。
所有期間が5年に満たない間に売ると譲渡所得税の税率が約2倍になるので注意しましょう。
譲渡所得税は利益にかかる税金ですので、利益が出なかった場合には支払う必要はありません。
売却費用は売却手続きにかかった費用(仲介手数料、登記費用など)の合計額です。
確定申告を行わないと、特別控除が使えずに損をします。売却益が出た場合と、売却損が出た場合の注意点を次に解説しますので参考にしてください。
2.マンションを売却する上で注意すべき3つのこと
ここで注意すべき3つのことをお伝えします。
- その①:売却益が出た場合の注意点
- その②:売却損が出た場合の注意点
- その③:取得費が分からない場合の注意点
その①:売却益が出た場合の注意点
売却益が出た場合(譲渡所得がプラスになった場合)の特例の注意点を解説します。
売却益が出ても、「3,000万円特別控除」を使うと節税することが可能です。
「3,000万円特別控除」とは、所有期間の長短に関係なく、要件を満たしていればマイホームの売却なら譲渡所得から3,000万円まで差し引くことができます。
3,000万円特別控除適用時の譲渡所得の計算式は「売却価格-(取得費用+売却費用)-3,000万円」となります。
この特例を受けるには次のような条件を満たしておく必要があります。
【3,000万円特別控除の要件】
- 以前に住んでいた家屋や敷地等の場合にはマイホームあるいは敷地や借地権を売った日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却する
- 売った年の前年及び前々年にこの特例またはマイホームの譲渡損失についての損益通算及び繰越控除の特例の適用を受けていない
- 売った年から3年前までにこの特例を受けていない
- 売り手と買い手が親子などの特別な関係にない
しかしながら、買い替えにおいて売却物件で「3,000万円特別控除」を使ってしまうと、購入物件で「住宅ローン控除」が使えなくなってしまうため注意が必要です。
「3,000万円特別控除」と「住宅ローン控除」は同タイミングでは利用できず、どちらか一方しか使えない選択適用となっています。
ただし、正確には入居した年の他、その前年または前々年、あるいはその年の翌年または翌々年に「3,000万円特別控除」等の特例を使っていなければ「住宅ローン控除」は利用できます。
例えば2022年に入居したら、2020年から2024年の間に「3,000万円特別控除」等の特例を使っていなければ「住宅ローン控除」は利用できることになります。
一般的には、「3,000万円特別控除」による節税効果よりも、「住宅ローン控除」の方が節税効果は大きくなります。
買い替えの次の物件で住宅ローン控除を利用する場合には、安易に「3,000万円特別控除」を使わずに、購入物件で「住宅ローン控除」を使うかどうかも含めて利用を判断するようにして下さい。
その②:売却損が出た場合の注意点
売却損が出た場合の特例の注意点を解説します。
買い替えで売却損が出た場合は、「居住用財産の買換えに係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例(以下、「譲渡損失の買換え特例」と略)」を使うことが多いです。
「譲渡損失の買換え特例」は、譲渡所得の売却損を他の所得にぶつけることにより、他の所得で支払っていた税金を取り戻せるという制度の特例です。 サラリーマンであれば、給与所得で天引きされていた所得税等が戻ってきます
「譲渡損失の買換え特例」は、次の購入物件でも「住宅ローン控除」を利用することができるため、非常に使い勝手の良いお得な特例です。
しかしながら、購入物件には以下の要件が必要となるため、注意が必要です。
【購入物件の要件】
- 譲渡資産の譲渡した年の前年の1月1日から翌年12月31日までの間に取得される自己の居住用に供する家屋またはその敷地
- その家屋の居住部分の床面積が50平米以上であること
- その取得の日から取得した年の翌年の12月31日までの間に自己の居住の用に供すること、または供する見込みであること
- 繰越控除を受けようとする年の12月31日において、買換え資産に係る住宅借入金等(返済期間10年以上のローン契約等によるもの)の金額を有していること
ここで特に注意をしたいのが、要件「4.」の「10年以上の住宅ローンがあること」という点です。
買い替えでは、今のマンションを売却して、その現金で次の物件はローンを組まずに購入する人がいます。
売却損が出たので、譲渡損失の買換え特例の特例が使えると思っていても、購入物件に10年以上の住宅ローンがなく使えなかったという失敗がたまにあります。
要件を十分に確認せずに買い替えを行ってしまうことはおすすめしません。
近年は低金利であるため、無理に貯金を使い切らず、住宅ローンを組んで現金を残しておくという選択肢も考えられます。
売却損が出れば、「譲渡損失の買換え特例」と「住宅ローン控除」のW適用をすることが可能なため、良く要件を確認した上で、利用するようにしてください。
その③:取得費が分からない場合の注意点
購入時の売買契約書を紛失してしまったり、相続によって取得した先祖伝来の不動産であったりして、購入時の取得費が不明な場合があります。
そのような場合、売却価格の5%を取得費として計算することができる、概算取得費の制度があります。
この場合の譲渡所得の計算式は「売却価格-(売却価格×5%+売却費用)」となります。
この場合には概算取得費の場合は減価償却費を差し引きません。
このような場合ですと95%近くが譲渡所得になり税金も相当大きな金額となります。
ただし、諦めることはなく合理的に、過去の購入金額(取得費)が算出できれば、その金額を購入金額として確定申告することが認められます。
例えば
- 購入した不動産業者が今もあるなら、当時の募集チラシやパンフレットを探してもらう方法
- 登記簿謄本の抵当権の欄から、購入時のローン情報から推測していく方法
- 不動産鑑定士に過去の取得費を算出してもらう方法
これらの方法を組み合わせていければ認められる可能性もあります。
マンションを売却するタイミングが重要です!
ポイントをまとめます。
- マンション売却に必要な費用をチェック(目安があります)
- 譲渡所得税についてチェック(少し深掘りします)
- 売却益が出た場合の注意点
- 売却損が出た場合の注意点
- 取得費が分からない場合の注意点
マンションを売却するのにかかる諸費用や注意点を解説しました。
費用の目安は、マンションの売却価格の約3.5%です。
また、マンション売却利益が出た場合、譲渡所得税がかかりますし税率は所有期間によって変わります。
マンション売却を成功させるために物件価格の査定や仲介売却を依頼する不動産会社の選定、買い手とのマッチング、売買契約、引き渡し、税金の特例まで分からないことがありましたら当事務所にお問い合せやご相談下さいませ。
何卒よろしくお願い申し上げます。