相続人調査が知りたい①【相続人調査の内容や必要になる理由を解説します】
相続人調査が知りたい人
「相続が発生しましたが相続人を確定するのに『相続人調査』が必要と行政書士に言われました。その『相続人調査』はどういった内容か、また必要な理由がわからないので教えて下さい。」
こういった疑問にお答えします。
✓本記事の内容
1.相続人調査の内容をチェック【相続人調査で分かることがあります】
2.相続人調査の必要性と面倒な理由【色々と訳があるのです】
この記事を書いている私は、不動産歴18年ほど。その中で相続歴は10年ほどの行政書士です。
よくある質問で「相続人調査の内容や必要な理由が知りたい」という疑問があります。その疑問を順番に解決していきましょう。
1.相続人調査の内容をチェック【相続人調査で分かることがあります】
内容を身につけましょう
その①:相続人調査とは(重要なものです)
その②:相続人調査でわかること(把握できていなことが発覚することがよくあります)
上記のとおり
相続人調査が分かるようにここから詳しく解説していきます。
その①:相続人調査とは(重要なものです)
遺産相続をするときには、他の相続人と遺産分割協議を行って相続財産を分け合う必要があります。
遺産分割協議には、法定相続人が全員参加する必要があり、ひとりでも欠けていると無効になりますので、相続人は誰なのかを確認して明らかにしなければなりません。
この相続人を明らかにするために、故人(被相続人)の死亡から出生までの戸籍をたどり、戸籍謄本等で調べて確定することを『相続人調査』と言います。
よって、相続の手続きにおいて、誰が相続人になるのか確定する相続人調査は、まず行わなければならない非常に重要なことです。
その②:相続人調査でわかること(把握できていなことが発覚することがよくあります)
相続人調査で分かることは多くあります。
- 法定相続人
→故人(被相続人)の配偶者
→故人(被相続人)の親子
→故人(被相続人)の兄弟関係
→故人(被相続人)が養子縁組した有無
→故人(被相続人)が認知した子供の有無 - 故人(被相続人)の出生地
- 結婚、離婚の時期
先ずは、相続人調査で家族関係を明らかにし「法定相続人が誰になるのか」を判断します。
相続人調査をしなければ、法定相続人を確定することができず、相続の手続きは滞ってしまうからです。
配偶者は必ず相続人となります。それに続く親族たちは、相続権の順位が決まっており、その順位の最上位の人が法定相続人になります。
【法定相続人の順位と範囲】
戸籍謄本を見ると、故人(被相続人)の出生から死亡までの親子関係だけでなく、いつ結婚していつ離婚したのかという婚姻関係、養子縁組や認知した子供の有無などの情報もすべて把握することができます。
誰が相続人かは大抵の場合把握していると思いますが、把握できていない婚姻状況などによる前妻との間の子供、婚姻していないが認知している子供、養子縁組などがここで発覚することがあります。
2.相続人調査の必要性と面倒な理由【色々と訳があるのです】
ここで相続人調査の必要性と煩雑な作業であることを解説していきます。
その①:相続人調査の必要性(相続手続きには必須です)
その②:相続人調査は煩雑です(とても大変です)
その①:相続人調査の必要性(相続手続きには必須です)
第一に法定相続人を確定させる為です。
法定相続人が確定していないと次のような影響が考えられます。
【遺産分割協議が進められない】
相続が発生すると、遺産の分割方法を決める遺産分割協議をする必要があります。
遺産分割協議には、法定相続人が全員参加する必要があります。
法定相続人が定まらないことには、参加すべきメンバーが定まらず、分割方法も決めることができません。
また、ひとりでも欠けていると無効になりますので注意が必要です。
【相続税の申告ができない】
相続税の申告については、法定相続人の数に応じた基礎控除額があり、相続人が定まらないことには、基礎控除額も算定することができません。
詳しくは「相続税の基礎控除について【計算方法や注意点を解説します】」をご覧ください。
また、相続税の申告については、故人(被相続人)が亡くなったと知ってから10か月以内という期限があるので、注意が必要です。
ちなみに、相続人調査をしなくても家族関係が明らかで相続人も把握していたとしても、他人からは全くわかりません。
不動産、銀行などの金融機関、証券会社等で、遺産の名義変更の際に、相続関係を客観的に証明する資料を確認する必要がありますので相続人調査が必須となります。
その②:相続人調査は煩雑です(とても大変です)
相続人調査は、様々な戸籍を収集することから始まります。そして、それを読み取っていく作業を何回も繰り返します。
戸籍収集を困難にしているいくつかの理由を挙げてみます。
- 集める戸籍の数が多い
- 何度も法改正があり、戸籍謄本の方式に変更があること
- 本籍地別に取り寄せる必要がある
- 連続性がなくてはいけない
ここから詳しく解説していきます。
【集める戸籍の数が多い】
戸籍が1枚で済むことは滅多になく、高齢であればあるほど、集めなければならない戸籍の数は増えます。
また転勤などで本籍地を変えている人の場合、それだけ必要な戸籍の数が増えます。
少ない人でも5通程度、多い人だと10通以上必要なケースもあります。
【何度も法改正があり、戸籍謄本の方式に変更があること】
明治の初期に戸籍制度が始まってから現在のデータ化された戸籍になるまで、何度も法改正がおこなわれてきました。
それに伴い、戸籍の改製もおこなわれ、その度に前の戸籍は「改製原戸籍」に変わっています。
特に昔のものに遡ると、戸籍に掲載している様式が違うだけでなく、手書きの戸籍も存在します。
手書きの戸籍は、筆を使って書かれており、旧字体が使われているケースなどもあって非常に判読が難しくなります。
本籍地や日付の連続性を確認するのも大変ですし、中にどのような人が入っていて、いつどういった理由で移動したのかも理解が困難となります。
【本籍地別に取り寄せる必要がある】
戸籍謄本は本籍地ごとに管理されているので、戸籍の取得を一括で済ませることができず、本籍地があった場所の役所でそれぞれ申請をする必要があります。
本籍地別に調査を繰り返さねばならないので手間がかかりますし、戸籍の数が増えれば増えるほど、大変手間がかかります。
【連続性がなくてはいけない】
相続人調査では、戸籍の連続性が必要です。
連続性とは、故人(被相続人)の死亡から遡って、出生までの戸籍をひとつでも欠けることなく順番に集めていくことです。
この戸籍の連続性がひとつでも欠けていた場合、すべての申請がやり直しとなります。
欠けている戸籍の中で子供が生まれていたり、養子縁組や認知をしているなどといった事実が発覚することもあるため、すべての戸籍を集める必要があります。
特に全部集めたと思っても、改正原戸籍謄本が足りない場合などがよくありますのでご注意ください。
相続人調査は実際に誰が相続人としての地位を有するのかを正確に特定することが大切なので、戸籍とじっくりと向き合うことが重要になります。
また、戸籍謄本を丁寧に慎重に読み解くことも求められるので、素人の方ですと非常に時間が掛かり面倒な作業を強いられることになります。
まとめ:相続人調査は相続人を把握していても必ず行いましょう
ポイントをまとめます。
- 相続人調査の内容をチェック【相続人調査で分かることがあります】
- 相続人調査でわかること【把握できていなことが発覚することがよくあります】
- 相続人調査の必要性と面倒な理由【色々と訳があるのです】
- 相続人調査は煩雑です【とても大変です】
相続人調査の内容や必要性などを解説していきました。
相続人調査は相続人が把握できない部分がありますので、把握していたと思う人も必ず相続人調査を行いましょう。
また、自分で取り組むと大変な時間や手間がかかってしまうケースも多いですし、抜け漏れが発生する可能性も高くなります。
相続人調査をスムーズかつ確実に進めるには、行政書士などの専門家に依頼することをお勧めします。
ということで今回は以上です。
行政書士おおこし法務事務所でも相続人調査を受け付けておりますので、お気軽に依頼してください。
ケースにもよりますが、依頼費用は3万円~5万円程度です。
併せて遺産分割協議書の作成などもお受けできますので、相続手続きにかける時間がない方や事務作業が苦手な方は特に依頼することを検討してみてください。
何卒よろしくお願い申し上げます。