遺言書が知りたい【種類や作成方法を解説します】
遺言書が知りたい人
「遺言書を作成した方がいいと聞きますが難しそうなので作成方法が知りたい。さらに何を書いていいのかついでに知りたい。あと注意することがあれば教えて下さい。」
こういった疑問にお答えします。
✓本記事の内容
1.遺言書の種類や作成方法【メリットやデメリットもあります】
2.遺言書を作成する上で注意すべき3つのこと
この記事を書いている私は、不動産歴18年ほど。その中で相続歴は10年ほどの行政書士です。
よくある質問で「遺言書の作成方法が知りたい」という疑問があります。その疑問を順番に解決していきましょう。
1.遺言書の種類や作成方法【メリットやデメリットもあります】
遺言書は何度でも書き換えができます
その①:遺言書の種類やメリット・デメリットのチェック(自分に合っているものを選びましょう)
その②:遺言書を作成してみましょう(作成しても無効とならないようにしましょう)
その③:遺言書の書き方のポイントをチェック(相続人間で揉めないようにしましょう)
上記のとおり
遺言書の種類や作成ができるようにここから詳しく解説していきます。
その①:遺言書の種類やメリット・デメリットのチェック(自分に合っているものを選びましょう)
遺言書には一般的に、「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」の3種類があります。
この3種類の遺言書の特徴を解説します。
【自筆証書遺言の特徴】
遺言者が遺言の全文・日付・氏名を自書し、押印して作成する遺言です。筆記具と紙さえあればいつでも作成可能ですから、他の方式と比べると費用も掛からず手続きも一番簡単です。
また、自分1人で作成できますので、遺言内容を他人に秘密にしておけるというメリットもあります。しかし、反面、内容を専門家にチェックしてもらうわけではありませんので、「法的要件不備のために無効」となる危険性が付きまとってしまいます。
更に、紛失・偽造・隠匿の心配や、遺言の存在をどうやって遺族に知らせるかといった問題もあります。
【公正証書遺言の特徴】
公証人に作成してもらい、かつ、原本を公証役場で保管してもらう方式の遺言です。
作成・保管共に専門家である公証人(役場)がやってくれますから、法的に最も安全・確実で、後日の紛争防止のためにも一番望ましいと考えられます。
ただし、その分の費用がかかること、証人の立会いが必要なことから遺言内容を自分だけの秘密にすることができないことなどのデメリットもあります。
【秘密証書遺言の特徴】
遺言者が適当な用紙に記載し(ワープロ・代筆も可)、自署・押印した上で封印し、公証人役場に持ち込み公証人および証人立会いの下で保管を依頼します。
遺言内容を誰にも知られずに済む、偽造・隠匿の防止になる、遺言書の存在を遺族に明らかにできる等のメリットはありますが、逆に、遺言内容について専門家のチェックを受けるわけではないので不備があれば無効となる危険性もあります。また、費用も発生します。
下の表に3種類の遺言書のメリットとデメリットをまとめましたので参考にしてください。
おすすめの遺言書は公正証書遺言
もっともおすすめの遺言書は「公正証書遺言」です。公正証書遺言は、費用はかかってしまうものの、「無効になりにくい」「検認が不要」「トラブルになりにくい」などのメリットが大きいためです。
「自筆証書遺言」も、遺言書保管制度の開始によってデメリットがいくつか解消されましたが、内容のチェックが受けられないことから、形式不備によって無効になるリスクは避けられません。
せっかく遺言書を作成するのであれば多少の費用はかかっても、トラブルを防止し、自分の意思を確実に実現できる内容の遺言書を作成することを第一に考えるべきです。
その②:遺言書を作成してみましょう(作成しても無効とならないようにしましょう)
遺言書を作成する上で、注意点がありますので解説します。
遺言書の文例の見本として下の図をご覧ください。
まずは見本を参考に完成させてみましょう。
その③:遺言書の書き方のポイントをチェック(相続人間で揉めないようにしましょう)
遺言書の作成でとくに気を付けたいポイントを3つご紹介します。
・相続内容について、しっかりと思いを固めてから作成する
遺産相続とは、故人が生前懸命に生きて築き上げたものを他者に譲り渡すということです。
相続させる相手は本当にこれで良いのか、相続内容はこれで後悔しないか、ということをしっかりと意思を固めてから作成に入りましょう。
遺言者の意思はもちろん、遺言者が亡くなった後、相続人間で揉めないか、ということも考慮することが大切です。
ただし、遺言書は何度でも書き換えができますので、状況や環境に変化がありましたら再度書き換えするのもおすすめです。
・特別受益や遺留分への配慮をする
特別受益とは、相続人の中に、被相続人から遺贈や多額の生前贈与を受けた人がいた場合、他の相続人との間に不公平が生じるため、生前贈与等を遺産に持ち戻して、各相続人への相続財産額を決めるという制度です。
また、遺留分は兄弟姉妹以外の法定相続人に認められる最低限の相続分のことをいいます。
例えば、相続人が後妻と先妻の子1人だけであったとき、後妻に財産を全て相続させるという遺言を作成していたとしても、先妻の子には遺産の4分の1(に相当する額)を渡すよう後妻に遺留分を請求できるのです。この場合は、先妻の子が後妻に遺留分侵害額請求の調停や訴訟を起こすなどトラブルの原因になります。
このような場合は、法的判断が難しくなり、弁護士に依頼するケースも多く、相続人に弁護士費用など余計な負担がかかります。
・ミスがないか、作成後の確認を怠らない
遺言書を書き終えたら、抜けている箇所はないか、押印はきちんとされているかというふうに、念入りに確認することが大切です。
ひとつでも不備があれば、遺言書は無効になってしまいます。心配な方は、相続に詳しい専門家に任せましょう。
2.遺言書を作成する上で注意すべき3つのこと
ここで注意すべき3つのことをお伝えします。
- その①:家庭裁判所の検認がなければ遺言書は有効になりません
- その②:遺産分割協議よりも遺言書の内容が優先されます
- その③:法務局では,遺言書の内容に関する相談には応じることができません
その①:家庭裁判所の検認がなければ遺言書は有効になりません
実際に公正証書遺言以外の遺言書が出てきた場合の対応としては、開封をすぐにしてはいけません。
検認をせずに開封してしまうと5万円以下の過料を支払わなければいけなくなる場合があります。
「遺言書」を保管している方や発見した方は相続開始を知った後、公正証書遺言の場合を除き、遅滞なく亡くなられた方の住所地を管轄している家庭裁判所に提出して、その検認を請求しなければなりません。
この家庭裁判所において検認手続きをしなければ、法的に有効な遺言書とはなりません。
遺言書が家庭裁判所で検認されると、その結果が検認調書という公認文書(法的に有効な公文書)となります。
その②:遺産分割協議よりも遺言書の内容が優先されます
故人が生前に遺言書を残していた場合には遺言の内容が法律上のルールに優先することになります。
ただし、相続人側の利益を守るために一定の相続財産の取り分を保障する「遺留分」という制度があります。
詳しくは「遺留分侵害額請求が知りたい【制度内容や手続き方法を解説します】」をご覧ください。
遺言書は、被相続人が自分の財産をどのように相続人または相続人以外の者に承継させたいと望んでいたのか、被相続人の最後の意思表示になるため、相続人の意思(遺産分割協議)よりも優先されることとなります。
その③:法務局では遺言書の内容に関する相談には応じることができません
自筆証書遺言を保管する際に、法務局は以下の3つだけチェックします。
- 本文が自筆されているか
- 署名捺印されているか
- 日付が記載されているか
上記をチェックするのは、自筆証書遺言の要件を満たしているかを判断するためです。満たしていなければ保管できません。
つまり、3つの要件以外については、法務局は一切関与しません。
たとえ遺言書の内容に問題があっても、指摘することなく黙って受け取るだけです。
当然ですが、内容について質問しても答えてもらえません。
自筆証書遺言を保管する前に、遺言の内容に問題が無いか相続に詳しい専門家にチェックをしてもらった方がいいです。
まとめ:遺言書は早い段階で元気なうちに作成しましょう
ポイントをまとめます。
- 遺言書の種類やメリット・デメリットのチェック(自分に合っているものを選びましょう)
- 遺言書を作成してみましょう(作成しても無効とならないようにしましょう)
- 遺言書の書き方のポイントをチェック(相続人間で揉めないようにしましょう)
- 家庭裁判所の検認がなければ遺言書は有効になりません
- 遺産分割協議よりも遺言書の内容が優先されます
- 法務局では,遺言書の内容に関する相談には応じることができません
遺言書を作成するときには、種類選びだけではなく、どういった内容にするかも重要です。
当事務所では、作成方法だけではなく遺言内容についてもアドバイスをすることができます。また、遺言執行者として受けることも可能です。
遺言書は元気なうちにしか作成することが出来ませんし、体は健康でも認知症になってしまい判断能力がなくなってしまえば、遺言書を作成しても無効となります。
人間の一生の中では、不慮の事故に遭ってしまうなど、いつ何が起こるかわかりません。
遺言書の内容は、いつでも変更することも簡単ですし破棄することも出来ます。早い段階で、元気なうちに遺言書は作成しておくべきです。
ということで今回は以上です。
これを参考に遺言書を作成してみましょう。
分からないことがありましたら当事務所にお問い合せやご相談下さいませ。