相続財産の調査方法が知りたい②【有価証券の調査方法を解説します】
相続財産の調査方法が知りたい人
「相続が発生しましたが被相続人(故人)の有価証券の財産がいくらあるのか分かりません。有価証券の調査方法を教えて下さい。」
こういった疑問にお答えします。
✓本記事の内容
被相続人(故人)の有価証券の相続財産の調査方法が分かります【相続財産の調査は誰であろうとも必須項目です】
便利な調査方法があります
その①:有価証券の種類について(電子化の普及が進んでいます)
その②:有価証券の調査方法について(証券保管振替機構が便利です)
上記のとおり
この記事を書いている私は、不動産歴18年ほど。その中で相続歴は10年ほどの行政書士です。
よくある質問で「被相続人(故人)の有価証券の相続財産の調査方法が知りたい」という疑問があります。その疑問を順番に解決していきましょう。
相続財産の調査方法が分かるようにここから詳しく解説していきます。
その①:有価証券の種類について(電子化の普及が進んでいます)
有価証券とは「財産権を表示する証券」です。
例えば、記された金額を請求する権利を示す「小切手」や、会社の利益の一部を受け取ったり経営に参画したりする権利を示す「株券」などが有価証券に当てはまります。
以下、有価証券の具体例を挙げておきます。
◎小切手
多額の現金を持ち運ぶ不便さや、盗難のリスクの回避のために現金の代わりとして振り出すものです。受け取った人が直ぐに現金化できます。
◎手形
特定の期日までに支払うことを約束して振り出すものです。小切手は振り出す時点で預金口座に残高がないと発行できませんが、手形は取引時点では手元に資金がないといった場合でも発行することが可能です。
手形に記載された支払期日にならないと現金化できないため、手形を振り出した側の企業は余裕を持った資金のやりくりができます。
◎株券
株式会社が資金を調達するために発行する証券です。株券の購入者は企業の利益の一部を受け取ったり、会社経営に参加したり、市場で売買したりする権利を得られます。
◎債券
企業・地方自治体・国などが資金調達をするために発行する証券です。債券には償還期間があり、債券発行者は満期になったら利息を付けて、債券購入者にお金を返さなくてはなりません。
債券購入者は、決まった時期に利息を受け取ったり、債券を売却したりする権利を得られます。また、満期になれば額面金額を受け取ります。
◎投資信託の受益証券
証券会社・銀行などが投資家から少額ずつ資金を集めて、大きくまとまったものを専門家が運用するという金融商品です。投資信託の購入者は、資金を提供するかわりに受益証券を受け取ります。
受益証券の保有者は、分配金・償還金を受け取れますし、投資信託を売却して出資した資金を受け取る権利があります。
有価証券は、紙ベースのものを前提としていますが、昨今は電子化の普及が進んでおりますのでペーパーレス化してきています。
その②:有価証券の調査方法について(証券保管振替機構が便利です)
有価証券の調査を行うにあたっては、預貯金と同様に被相続人(故人)が、どの金融機関(銀行や証券会社等)で口座を持っていたかを確認することが必要となります。
よって、下記の方法で調査してみてください。
・銀行の通帳の履歴(配当金の入金や証券口座との入出金)を辿って確認する
・金融機関から届く取引報告書や郵便物から確認する
・自宅にある銀行名の入ったカレンダーや記念品等を調べて確認する
有価証券に関する書類が何も見つからない場合は、「証券保管振替機構」(通称、ほふり)に「登録済加入者情報」の開示請求をすることができます。
「証券保管振替機構」とは、投資家が購入した株の名義書換えをまとめて行っているところで、開示請求することによって、株式が保有されている口座のある金融機関(証券会社や信託銀行)を一括して調査できます。
なお、開示請求を行うに当たっては、開示手数料がかかりますので、ご注意ください。
ちなみに、口座開設日が平成20年8月24日以前で、同年9月1日以降に国内株式の取引がない場合は、情報が登録されていませんので、ご注意ください。
また、注意が必要な点ですと被相続人名義の証券口座については、相続人が直ちに解約・換金することはできません。
証券会社に「口座移管手続」を請求し、被相続人名義の口座を相続人名義の口座に一旦移し替えてから、承継した株式を売り払うか、そのまま保有するかを選択することになります。
株式等を相続するためには、同一の証券会社に相続人名義の口座を開設する必要があります。
まとめ:相続財産の調査方法は早めに始めましょう
ポイントをまとめます。
・有価証券の種類について(電子化の普及が進んでいます)
・有価証券の調査方法について(証券保管振替機構が便利です)
有価証券の調査は預貯金と同じく金融機関が見つかれば不動産などと比べて評価額が明らかですし、比較的スムーズに行うことができます。
もし、有価証券に関する書類通帳が見つからない場合には、「証券保管振替機構」(通称、ほふり)に開示請求してみてください。
ただし、時間が掛かることもありますので、なるべく早めに始めることをおすすめします。
ということで今回は以上です。
ご不明な点等、御座いましたら弊所にご相談くださいませ。